西部戦線の英軍重砲
ベルギーの村の被害
廃墟を活用した通信壕
上 西部戦線の英軍重砲
中 ベルギーの村の被害
下 廃墟を活用した通信壕
(『欧州大戦写真帖』より)
 

カイゼン視点から見る

第一次世界大戦


A Review on World War I from Kaizen Aspect

第一次世界大戦の経過

「第一次世界大戦の経過」
についての構成

航行中の英艦隊
英軍の戦車
米軍の毒ガス対策
上 航行中の英艦隊
中 英軍の戦車
下 米軍の毒ガス対策
(『欧州大戦写真帳』より)
 
サイトトップ 主題と構成大戦が開戦に至った経緯

第一次大戦の経過
1914年@ 西部戦線 1914年A 失敗の原因 1914年B 東部戦線 1914年C 海上の戦い
1915年@ 西部戦線1915年 東部戦線ほか
1916年@ 前半の戦線1916年A 後半の戦線1916年B 海上の戦い1916年C カブラの冬
1917年@ 前半の西部戦線 1917年A 後半の西部戦線 1917年B 東部戦線ほか 1917年C 海上の戦い 1918年@ 独軍の大攻勢1918年A 休戦 1918年B ドイツの敗因
第一次大戦の総括日本が戦った第一次大戦日本が学ばなかった教訓参考図書・資料

カイゼン視点から見る日清戦争
 

ここからは、第一次世界大戦の戦闘の経過について、見ていきます。

ただし、日本軍が戦った青島攻略などの戦闘は、別途、「日本が戦った第一次世界大戦」のところで確認しますので、ここでは、第一次世界大戦の主戦場であったヨーロッパの戦闘について、すなわち、いわゆる「欧州大戦」についての経過を見ていきます。


リデル・ハートの記述を基本に、「大戦の経過」を確認

第一次世界大戦の経過に関する事実を確認する手段として、ここではリデル・ハート 『第一次世界大戦』(原著 Liddell Hart, History of the First World Warを基本とすることに致します。

リデル・ハートの著作よりも新しい書物も多いのに、あえてリデル・ハートの著作を基本として見ていく理由については、定評のある戦史であることに加えて、以下に説明する理由があります。


昭和前期の日本軍は、リデル・ハートから第一次世界大戦の教訓を学ぶことが可能だった

リデル・ハートの『第一次世界大戦』の出版は、下記の経過をたどりました。

  • まず、1930(昭和5)年にThe Real War, 1914-1918 (『真実の戦争1914−1918』)として出版された。

  • 1934(昭和9)年には、増補版がA History of the World War 1914-1918(『世界大戦の歴史 1914-1918』)として出版された。

  • さらに第二次世界大戦後の1970(昭和45)年に、書名をHistory of the First World War(『第一次世界大戦の歴史』)に変えて再版された。

  • なお、邦訳は、1976(昭和51)年に、『第一次世界大戦』の書名で、上村達雄訳でフジ出版社から出版された。現在は中央公論新社から出版されている。

すなわち、リデル・ハートの原著は1931(昭和6)年の満州事変以前に、増補版は1937(昭和12)年の支那事変(=盧溝橋事件)以前に出版されていましたので、昭和前期の日本軍はそれを読んで、リデル・ハートが語る第一次世界大戦の教訓を取り入れることが十分に可能でした。

さらに、リデル・ハートの1920年代・30年代の著作は、ドイツの将校たちに多大な影響を与えた(Wikipedia英語版の「B. H. Liddell Hart」の項で引用されたブライアン・ボンドの説)とされており、とすると、当時ドイツに少なからぬエリート将校を派遣していた昭和前期の日本軍の耳に入らなかったとは考えにくい、とも思われるのです。

第一次世界大戦の経過をリデル・ハートの著作で確認することにより、合わせて、リデル・ハートから学べたはずの教訓を、昭和前期の日本軍が、実際に学んだのか学ばなかったのか確認もできる、というのが、リデル・ハートの著作を基本にする理由です。


リデル・ハート以外では、AJPテイラーとJMウィンターを多く参照

ただし、主目的は大戦の経過を確認すること自体ですので、リデル・ハートの著作の記述だけでは不十分、と思われる個所については、もちろん他書も参考にしていきます。

他書の中では、とくに下記の2書を多く参照しています。

テイラーの原著は1963年に、ウィンターの原著は1988年に出版されています。出版の年代の違いは、両書の基本的なアプローチの違いとなって表れているようです。


第一次世界大戦の地図

戦史を理解しようとすると、やはり地図がないと理解しにくいことが多いため、筆者自身の理解のために作成した多数の地図を、参考用に載せています。その地図のほとんどは、主にリデル・ハートの著作の情報を、現代のGoogle Map上に表示することで作成したものです。

もともとリデル・ハートの著作には多数の地図が含まれていますが、局所の戦闘の詳細を示すことが目的であることが多く、一体どこの国のどのあたりの地域での戦闘なのか、マクロ的な理解には、残念ながらあまり役立ちません。筆者が作成したものは、マクロ的な理解のためのものです。

ただし、地名確認等の作業時に誤りをしでかしている可能性はあり得ますので、もしマチガイに気づかれましたらお知らせください。また、筆者が作成したものではなく、何かの著書等から引用した場合には、必ず引用元を表示しています。


「第一次世界大戦の経過」の構成

戦闘の経過については、基本的に、時系列順で進めていきたいと思います。以下の構成となっています。

1914年

西部戦線、シュリーフェン計画の実行と失敗

シュリーフェン計画の失敗の原因

東部戦線、タンネンベルクとレンベルク

海上の戦いと1914年の総括

1915年

西部戦線での塹壕戦

ガリポリ、東部戦線、その他の戦線

1916年

前半の西部・東部両戦線、ヴェルダン・ブルシーロフ攻勢

後半、ソンム・バルカン・イタリア・中東

海上の戦い、ユトランド沖海戦と潜水艦

講和への動きとカブラの冬

1917年

前半の西部戦線、ヒンデンブルク線とフランス軍内の反乱

後半の西部戦線、第3次イープル戦とカンブレー戦

東部戦線・イタリア・中東

海上の戦いとアメリカの参戦

1918年

ドイツ軍の大攻勢とその失敗

休戦

B ドイツの敗因


まずは、1914年@ 西部戦線、シュリーフェン計画の実行と失敗、からです。


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